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乳歯冠

乳歯冠

子供用(乳歯専用)に用いる、既製品の冠です。 ステンレス(鉄:約70%、ニッケル:約20%、コバルト:約10%  当院で使用している米国3M社の乳歯冠)で出来ています。 既製品の冠を乳歯に被せて虫歯の治療をします。 乳歯冠は、しっかりとラバーダムをしてから治療をしないと、危険な場合が多く、小児歯科の専門医でなければ、難しい治療のひとつです。 ステンレスの金属色は、大人の治療と比べると時代遅れの感もしますが、お子様の歯を守る上ではとても重要な治療アイテムです!

乳歯冠は欠けない!外れにくい!=再治療が少ない。これが一番重要な特徴なのです。 乳歯冠は欠けない!=永久歯が生えてくるスペースの保持。上下的な高さの保持。=永久歯が良い歯並びになる条件! 見た目が良くないのがこの乳歯冠です。できれば白い樹脂で治療ができれば良いです。 是非とも、虫歯が大きくなる前に来院してください。一番大事なのは予防です。

黒い部分が虫歯だとすると、これくらいの虫歯ですと、白い樹脂でもOKです。

歯の縦幅を超えるような、右側の歯の様な虫歯の場合は、乳歯冠の方が、再治療が圧倒的に少なくなります。逆に、これくらいの虫歯を白い樹脂で充填しますと、数か月から半年以内に外れてしまう場合が多いです。 このような虫歯の治療を繰り返してしまうと、歯は崩壊の一途をたどります。そして歯並びを悪くしてしまいます。

白い樹脂は大きい虫歯には適しません
小さい虫歯の場合はもちろん、白い樹脂(コンポジットレジン)でOKです。
しかし、大きい虫歯には適しません。 なぜならば、子供の咬む力は想像以上に強く、また、永久歯に比べて奥歯の歯の数が少ないので、集中して力がかかります。

白い樹脂の方が見栄えが良いです。
ところが、治療した歯がしょっちゅう欠けて、いつも歯医者通いをしていませんか?
最初のうちは、樹脂が欠けただけのものが、何回も治療?を受けている間に、どんどんボロボロになって、歯の中の神経(歯髄)を除去せざるを得ない状態になってしまいます。歯髄を取った乳歯は、更にもろくなり、それでも乳歯冠を使わないで、白い樹脂を詰める治療を続けてしまいますと、今度は、残根と言う歯の咬む部分が無くなった根だけの状態を作りだします。

残根になりますと、今度は咬み合わせの変化が起こってきます。
残根の後ろの歯は前に移動すると共に、咬みあわせが低くなります。
すると、顎の回転も生じさせて、さらに歯並びが悪くなる原因を歯科医師が作ってしまうことになります。
よって、乳歯の形を生えかわりまで保持する事は非常に大切になってきます。
大きな虫歯を作ってしまった場合に、こういった状況を防ぐには今のところ乳歯冠にせざるを得ないのが現状です。

白い樹脂は大きい虫歯には適しません
無視できる程度と思われます。
万人に対してアレルギーが存在しない物体はほとんどありません。この乳歯冠については、私たち敬友会の診療所では25年間使い続けております。しかし、アレルギーのような症状が出た事は一度もありません。恐らく、金属が溶け出す様な事が、ほとんどないのだと思います。

当然ですが、日本の厚生労働省、アメリカの厚生省に当たる、米国食品医薬品局から子供に対する使用が認可されています。

金属といえば、金属アレルギーと結び付けて考える方もいらっしゃると思いますが、この乳歯冠に含まれている3つの金属は、鉄やニッケル、クロムも人間の体には必須の金属と考えられています。
これらの必須金属についてもアレルギーを起こしてしまう人が居るのは実に不思議ですね。

白い樹脂(レジン)には、アレルギーが無いか?矯正に使われる入れ歯の様な器具の樹脂にアレルギーが無いか?というと、実は、あり得ます。
ただし、これも無視出来る程度なために使われているのです。

型を取る治療の危険性と、型を取ってできる冠の性質が乳歯には合わないのです。
泣いているお子様に、型を取るような治療を行いますと、型を取るドロドロの材料を気管に吸い込み、肺の中に入ります。大量に入り込むと当然窒息の危険がありますが、少量でも慢性炎症の原因になる事が文献により報告されています。
よって通常は型を取る事はいたしません。 それでは泣かないお子様の場合は、白い冠を作る事はできるのでしょうか?答えは出来ます。ジルコニア等の被せ物を使えば審美的には非常に満足をする冠ができます。 しかし、ここで大きな問題があります。乳歯は永久歯の様な、歯の高さが無いために、被せ物を歯に維持する、つまりしっかり接着させる事が出来ません。
よって、自費診療でジルコニアの冠を作ったとしても早期に脱落する事が簡単に予想できます。
また、この様な白いセラミックスの材料は、乳歯冠よりは冠の厚みが必要になってきます。 乳歯の場合、それだけの厚みを出すために歯を削りますと、歯の中の神経を露出させてしまう危険性があり、余計な治療?をする必要があるのです。 型をとって作ったりして作った冠と違って、乳歯冠はウエストに当る部分に弾力性が有る素材を使用している為に歯をしっかりと保持します。つまり、装着する時に力をかけると、冠が少し広がり歯に嵌りこみます。それによって外れにくいのです。

永久歯の歯並びを悪くする原因になります。
歯は、乳歯も永久歯も、必ず!!前の歯に寄りかかっているのです。つまり寄りかっていた前の歯が抜けてしまった場合は、必ず!その抜けてしまった部分へ前方移動が起こります。絶対に、その場所に留まっている事はないのです。乳歯の場合は、この移動は顕著です。数日で1ミリ程度は動いてしまいます。この移動は、乳歯の奥歯の前後が欠ける事でも直ぐに起こります。
よって乳歯が欠けてしまった場合、すぐに治療をする必要があるのです。 その点、乳歯冠は長年の使用により、咬む面に穴が開くことは有りますが、歯と歯が隣接する部分が破壊する事は一切ありません。これが最大の特徴なのです。つまり再治療が非常に少なくて済みます。

永久歯の歯並びを悪くする原因になります。
乳歯の奥歯が崩壊すると、それに寄りかかっていた、6歳臼歯も前に移動してしまいます。 そして、12歳頃になり、乳歯の奥歯が永久歯に生え変わる時には、その歯が下から生える場所がなくなっていることが多いのです。 そうなると八重歯になってしまうようなことがあります。つまり外れない冠で治療するのは、将来の永久歯の歯並びを守る事に直結するのです。 ですから、治療をした奥歯が欠けない様にするのが非常に大事で大きな虫歯の治療には乳歯冠を用いることが多いのです。

神経をとっていなければ、通常の歯と同じ生え替わりです。
小学生の間に、ほとんどの乳歯冠は、通常の歯と同じように生え替わります。 しかし、神経をとった歯の場合は、通常よりも、1年半弱早く生え替わることが報告されています。

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